VOCA展奨励賞に大小島さん

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受賞卒業生インタビュー
VOCA展2014奨励賞受賞、大小島真木さん
「目に見えない地球地図を描きたい」

学生時代から精力的に作品発表を続けてきた大小島真木さん。絵画の枠を越えて独自の世界を展開し、最近はインドなど海外での壁画制作の仕事が増えました。今年は若手平面作家の登竜門V0CA展2014で奨励賞を受賞。その活動に注目が集まっています。メキシコでの滞在制作を終えたばかりの大小島さんにお話を伺いました。

Q. どんなテーマで制作をしてますか?

作品というのは人々の思考を少しずらしたり、視野を少し変えてみせたりすることの出来る” 装置”のようなものであると考えています。物事の成り立ちのことわりを知覚する役割を装置の中に見いだして、”言語”になる前の世界を探ろうとします。それはオカルトチックなことではなく、ここには人間の認識出来ない生きものすらたくさん存在している場所なんだという当たり前を実感しながら生きて行くという姿勢です。そうでなければ、人間は人間のためだけに働き過ぎてしまう。私は作品を通して、国境による世界地図ではない目に見えない地球地図を描こうと試みています。
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Q. 取材や現地制作の魅力と必要性は何ですか?

土地が違えば文化や生活習慣が違ってくる、というのは知識としては当たり前なことでも、実際にそれぞれの大地に立ち、その土地土地を肌で経験する生の感覚と呼べるようなものは知識だけからは得られないものですよね。そうしてやって来た取材や現地制作の現場で、今までの方法が通じない事が起こるかもしれない、あるいは自分の考え方が真っ白になるくらいの場面に出くわすかもしれない。こうした自分自身の思考を壊して行きながら新たな方法を学んで行く

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Photo by Serge Koutchinsky

Q. 作家はどのようなコミュニケーションが必要ですか?

コミュニケーションというものの定義を広く考えさせてもらえるならば、歴史を紐解き根源へと辿る事と現代社会への情報伝達、この往復をすることが人々にとって、そして作家には必要不可欠ではないかと思っています。そうした往復を時代とのコミュニケーションと言う事が出来るとするならば、私たちは過去現在未来という点がどのようにして線となり繋がっているのかという大きな枠組みでの意識をその中から得て行くべきだし、また人間同士の情報伝達の中でそうしたことを共有して行く意識もまた必要だと思っています。

Q. これからチャレンジしてみたいことはありますか?

去年から壁画を初めたことで空間観に対する目線も少し変わって来たりして、とても面白いなあと思っています。絵が身体を越えて行くと、性質そのものが変化してきます。古代洞窟壁画で人間が描いて来た地点から、民族運動、宗教運動、政治運動に使われた壁画、また路上に於ける壁絵たちの存在、歴史と共に歩んで来た媒体ですよね。それを現代に生きる自分がチャレンジして行く。それから、現在も取り組み中なのではありますが、映像にも少しづつ手をつけています。技術的にもまだまだなので、改善の余地だらけなのですけれど。でも”描く”という事から壁画によって”空間”があらわれ、映像によって”時間”と“音”が生まれる。そしてそういったものをまた絵に還元していって、循環円を作っていきたいなあという試みをしています。という循環は、生命の創造性そのものでもあるなと感じています。

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VOCA奨励賞を受賞の大小島真木さんですが、他にも
海外でのプロジェクトに多数参加し、活躍の幅を広げています。
大小島真木さんの活動履歴はこちらから
http://goo.gl/OTuCyi

VOCA展とは
VOCA展では全国の美術館学芸員、ジャーナリスト、研究者などに40才以下の若手作家の推薦を依頼し、その作家が平面作品の新作を出品するという方式により、全国各地から未知の優れた才能を紹介するものです。

詳しくは...
大小島真木HP
http://www.ohkojima.com/