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改ドローイングシンポジウム1

『ドローイングシンポジウム』

2016 年 11 月 26 日(土)13:30開場 / 14:00開始 / 16:30終了
入場無料 / 予約不要
会場の都合により75名で入場を打ち切らせていただきます。この点、ご承知おきください。

[会場]
相模原市立市民・大学交流センター ユニコムプラザさはみはら セミナールーム
〒252-0303
相模原市南区相模大野3丁目3番2号
bono相模大野サウスモール3階 
tel: 042-701-4370

〔会場まで〕
相模大野駅中央改札口から北口デッキに出て、左手に進むと「bono相模大野」がみえます。
そのままbono相模大野のショッピングセンターとサウスモールの間の2F中央通路(ボーノウォーク)を進み、
「SoftBank」と「ほけん百花」の間を入ったところのエスカレーターで3Fに上ってください。

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デッサンは危機に瀕している。
 ここにデッサンというのは、ルネサンス期のイタリアに淵源する透視遠近法と明暗法にもとづく描画システムのことであり、ながいあいだ絵画制作のルールとみなされてきた。このルールを身体化し、テクノロジーとして使いこなせることは、画家であるための、そして、美術家であるための身分証明であった。
 しかしながら、ルールの常として、デッサンは絶対的なものではありえず、それゆえ、批判や違反を誘発せずにはおかない。そればかりか、意図的な逸脱を企てる者たちの登場をうながすことにもなった。19世紀末から20世紀にかけての美術史は、挙げて、デッサンの回避や克服に力をつくしてきたといっても過言ではない。そして、確信犯的なルール違反が蔓延するなかで、デッサンはルールとしての威信を、しだいに失っていった。それは近代の遠のきと同期する動きであった。
 ただし、これによってデッサンの意義がうしなわれたわけではない。威信の失墜とは、他のルールによる相対化ということであって、描写を目指す制作においてデッサンは、三次元的イメージ形成のテクノロジーとして、また、描写におけるイメージ探究の方法としていまだに必要とされている。相対性理論の登場によってニュートン力学が無効となりはしなかったのと同断である。
 しかし、こうした状況の到来によって、デッサンを金科玉条とする構えが成り立ちがたくなったことも否定しがたい。すなわち、デッサンから解き放たれた「描くこと」の魅惑は、すでに広く知られている。とはいえ、かつてのデッサンに取って代わる強力なルールが定まっているわけでもなく、ルールは複数化しつつ絡まりあっているのが現状だ。
 デッサン以後ともいうべきこうした状況を踏まえて「描くこと」の意義を改めて捉え返すには、いったいどうすればよいのか。わたくしたちは、それについて考える契機として、「デッサン」の類義語である「ドローイング」の原語に注目した。すなわちdrawingである。この語が喚起する「引く」「汲み上げる」という動作に伴う身体性からデッサン以後の状況を照射してみようというたくらみである。再現表象ではなく、身体の動きとして「描くこと」を捉え返し、その特殊な例としてデッサンを規定する試みといってもよい。デッサンもまた線を引くことにもとづくのであり、ドローイングは、だからデッサンを含みこむといえるのだ。デッサンはドローイングの一特殊形態でありながら、その特殊性ゆえにドローイングを代表してきたのである。ちょうど、正方形が、その特殊性によって全矩形を代表するように。 
 わたしたちは、このシンポジウムを以上のような観点から企画した。ただし、ここに述べたことは、むろん大枠にすぎない。こうした大枠をふまえて、ドローイングをめぐるたくさんの言葉が行き交い、参加者それぞれがデッサン以後の状況にかんして何かを見届ける契機をつかむことになるのであれば、これにまさるよろこびはない。厳格なデッサンのなかに、描き手の身体性が息づく一本の線を見出すときのあの悦びに匹敵する昂揚を、わたしたちは心待ちにしている。
ドローイングシンポジウム実行員会を代表して 北澤憲昭
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[プログラム]
13:30- 開場
14:00- 開会挨拶:平戸貢児(女子美術大学 美術学科長)
14:05- 基調講演:北澤憲昭 / 近現代美術史 美術評論(ドローイングシンポジウム実行委員会)
14:30- 発表 / 司会 北澤
14:30- 大森悟 / 現代美術作家
14:45- 鈴木淳子 / 美術教育研究

15:00- 休憩
15:05- 平戸貢児 / 彫刻家
15:20- 福士朋子 / 美術家
15:35- 宮島弘道 / 日本画家

15:50- 休憩
16:00- ディスカッション / 招聘コメンテーター+発表者・司会 北澤
16:25- 閉会挨拶:平戸貢児(女子美術大学 美術学科長)
16:30  閉会 
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[発表者プロフィール]
大森 悟:現代美術作家
日常のなかに存在するあらゆるものの境界に、光、時間、揺れなどの現象を用いて透過性を生み出し、身体と空間が溶解し不在の人の視点を体験させるような映像やインスタレーション作品を発表している。『静水の際 上海』Joshibi art Gallery上海 (’13)『NHKハート展』(’16) など

北澤憲昭 :近現代美術史 美術評論
近現代美術の成り立ちについて研究をつづけている。また、同様の観点から美術の現在にコミットメントする言論活動を展開してきた。美術評論家連盟、美学会、表象文化論学会所属。1990年、『眼の神殿――「美術」受容史ノート』でサントリー学芸賞を受賞。

鈴木淳子:美術教育研究
美術教育における造形表現活動を「経験の再構成」と捉え、「経験のサイクル」の累積的な継続となる美術科のカリキュラムや指導法について研究している。著書に『美術科教育の理論と実際』など。

平戸貢児:彫刻家
金属素材を主に彫刻を制作。人々が古代から連綿と受け継いできた、文化や文明という壮大なエネルギーの蓄積。その具現化を試みる。個展(ギャラリ−なつか ʼ14 他)ミネソタ州ダルース市、東京理科大学他作品設置。環境芸術学会理事。

福士朋子:美術家
ホワイトボードを支持体にマンガの構造や文法を取り入れた絵画作品を発表。個展『Boarding』 (山本現代、’13)、『公開制作63 福士朋子—見えたものと見えなかったもの』(府中市美術館、’14-’15)など。『元祖FAXマンガ お絵描き少女☆ラッキーちゃん』(’15)、『Cut&Paste』(’16)を出版。

宮島弘道 :日本画家
既存の日本画から逸脱した表現技法を用い、自身の経験から日本画を捉え直す実験的作品制作を続けている。座の会(O美術館)ほか、グループ展、個展などで活動。創画会 会員。
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主催:女子美術大学ドローイングシンポジウム実行委員会

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