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self-re-location_b2_008

女子美術大学 × アートラボはしもと連携プロジェクト
self-re-location 1つの景色を、2つの場所で

アートラボはしもとにて7/1(日)迄開催中となります。

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ご挨拶
self-re-location セルフリロケーションには、「リロケーション」と「ロケーション」という2つの言 葉が重ねられています。「リロケーション」には「移転」、「引越し」、「再配置」の意味があり、さらに 「ロケーション」には「位置」、「場所」などの意味も含まれています。学生自らが作品の「展示工程」 と「移動」などを通して、作品と会場の関係性、移動手段や交通インフラなど、女子美術大学とアー トラボはしもとの2ヶ所の点と点を繋ぐように視野を広げることで地域環境の特徴などを実践的に学
び考察するプロジェクトです。
この展覧会は、昨年開催した「cross references: 協働のためのケーススタディ」展を継続するかたち で女子美術大学の教員や学芸員・関係者、並びにアートラボはしもとからなるプロジェクトチームの 共催によって企画されました。
女子美術大学の洋画専攻1年次の最初の授業課題[校内およびグランドの取材から]、3年次の授業課 題であるグループワーク[ワーク・イン・プログレス]で制作した課題作品などを、女子美術大学 1011 スタジオとアートラボはしもとの2会場で順次展示と公開を行います。
2つ目の会場となるアートラボはしもとでは、まず女子美会場での展示を元に、出品予定作品を説 明したテキストの掲示と展示予想図となるマスキングテープによるマーキングを行い、作品自体が存 在しない状態から展覧会がスタートします。そして会期後半には作品の「再設置」や「再展示」を行い、 実物の作品の鑑賞をしていただくことになります。
ここではイメージと現実の往来が引き起こす「ずれ」や「矛盾」といった断裂されたかのような余白 や不足箇所をより積極的に補うことで、潜在的な作品の可能性を探し出すことを目指します。
このような補い合う鑑賞方法や関係は、協働のようなかたちとしても新たな展開を生み出すかもしれま せん。しかし一方では、作者にとっても、鑑賞者にとっても、不自然さや齟齬を抱えての美術体験の スタートになるでしょう。
多くの情報に覆われ、予定調和で、想定内のことの上書きが続くように物事、そして日々の時間が進 んでしまうような高密度空間に暮らしている今日、私たちはその不足箇所にどのように向き合うので しょうか、その余白にたゆたうときに何を得ることができるのでしょうか。
self-re-location セルフリロケーションを行うことは、多様性のある未来予想図と現実を手にするため の小さな旅です。
どうぞごゆっくりご高覧下さい。
女子美術大学 洋画専攻教授 大森悟

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展覧会「self-re-location セルフリロケーション」について
本展覧会の大きな特徴は、作品を移動させるという通常は公開しない過程をあえて視覚的に示すため、 会場に作品自体が不在の時間があること、そしてその不在を補うため、作家が自らの作品について言葉 で伝えることを試みるという点にあります。
アーティストとして作品を作る時、例外はあるとしても、その延長線上にはほとんどの場合、作品を 「見せる」という行為があります。自分の作品をどんな環境で、どんな方法で見せるのか。「作る」行為 に満足せずに、その先にある「見せる」ところにまで意識を向けるということがアーティストには求め られているのです。それは自分以外の他者の存在を意識し、未知の存在である他者に自分を伝えるとい
うことでもあります。 今回の試みは、まさにそのアーティストに課されている「伝える」という課題への取り組みのひとつです。 他者に何かを、今回の場合は自分の作品を言葉で伝えるとき、どんなに手を尽くしても、言葉と実際の
作品の間で受け手にずれが発生することや、作者の意図しない伝わり方をすることも当然あるはずです。 しかし、作品を「見せる」とき、そこに作者以外の解釈が加わることは避けられないことでもあります。
特にこの会場に不在の作品について知るには、想像力や知識、個人的な経験に基づく推察など、見る者 の何らかの介入が不可欠です。ここに展示される(予定の)ものに限らず、作品は作りだす者以外の他者、 見る者がいて初めて成り立つのです。むしろ、他者が関わったときに発生するそのずれをどう受けとめ るか。アーティストに求められている課題の真意はそこにあるのかもしれません。
今回の展覧会は、前述の通り、アーティストの課題に対するひとつの試みです。 しかし、それと同時に作品を見ることの延長線上に「作る」という行為を存在させるという、鑑賞者に
対しての試みでもあります。 展覧会を通して、鑑賞者とともに「作る」ことと「見る・見せる」ことをより近くにある存在として考え、
本展がその間を誰もが自由に行き来するためのひとつのあり方を示す場となることを期待しています。
女子美術大学美術館 非常勤学芸員 岸本紗和子

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