向井三郎|― 線の林 ―|nohako
05/28
非常勤講師の向井三郎先生の個展が以下日程にて開催致します。
是非、ごらんください。
向井三郎|Saburo MUKAI
― 線の林 ―
2015年5月、東京中野区に誕生する新しいギャラリィで新作を発表します。新しいギャラリィとはいうものの、そのオーナーである捧夫妻は1990年代半ばから2010年にかけ埼玉県飯能市の山間で現代美術と工芸のためのスペース、O-NE manokurozasuを運営し、印象深い展覧会を作ってきた実績があります。山から街へ、展示空間も古い大きな日本家屋からモダン建築の小空間へと変りましたが、アートという存在を社会に向けて発信する丁寧なオーガナイズや空間の居心地と細部の手触りを疎かにしないその展覧会ずくりは変らない筈です。この度の展示では大型の素描作品1点、人物肖像の素描作品3、4点にウォールドローイングと版画の小作品を加え展示構成する予定です。ぜひご高覧いただけますようお願いします。
2015年5月15日(金)から6月7日(日)金、土、日曜のみオープン
13:00から19:00
nohako
東京都中野区江原町2-7-16
(電話)070-5027-0021
都営大江戸線「新江古田駅」A1出口より徒歩約5分
http://www.nohako.com
向井三郎さんは、アトリエから見える風景や身近な人々の姿をモチーフに、木炭による素描を中心とした平面作品を手がける美術家です。
近年の向井さんの作品は、線描のみで画面を自立させていく傾向を強め、2014年の展覧会「生きられた時間」では、人物の肖像をギャラリーの壁面に直接描いていくウォールドローイングを行うなど、実験的な制作展開も試みています。
こうした向井さんの線描による作品表現は、ご自身がこれまでに行ってきた制作過程と同様に、対象を見ることとそれによって得られる視覚情報を画面に写しとっていく基本的な態度や、制作行為の反復性からつくられる多焦点的な画面を表出している一方で、作品はより平面的な図像へと移行しているように映ります。平面的な視覚性を保つ向井さんの作品は、線と余白、あるいは図と地の間を行き来する観者の作品経験の構造を明らかなものにし、一本の線の上に踏みとどまる心地、あるいは線の向こうにある余白へと通り抜けていくような感覚の連続性を観者に与えてくれます。
本展のタイトル「線の林」は、木々の立ち並ぶ情景の中でそれぞれの木に触れ、またそれらの間を通過するような空間経験と、向井さんの素描がもたらす視覚経験とを重ね合わせ付けられたものです。
作品の表層を覆う線との対話から、向井さんの見た風景とその形象を知覚してみて下さい。